スタジオジブリ×宮崎駿監督2023年に公開された『君たちはどう生きるか』。
2023年に公開されるや否や、大きな話題を呼びました。
しかし感動したという声と同じくらい、「モヤモヤした」「気まずく感じた」という声もありいろんな評価があったようです。
ジブリ作品とあり親子で見たい方も多くいますよね!
そんな方に向けて視聴者が「気まずい」と感じた代表的なシーンや親子で見ても大丈夫か調べてみました。
【君たちはどう生きるか】親子で見ても大丈夫?
結論、この映画は親子で見て気まずくなるような生々シーンはないので大丈夫です!
ただ、ジブリ作品の中でも小さい子には少し難しい内容となっているので、一緒に内容を理解して楽しむという感じではありません。
しかも今までとは違い少し踏み込んだ家庭環境の話もあるので、みんながみんな問題なく楽しく鑑賞できます!とは言い切れません。
ましてや大人が見ても内容を全て理解して落とし込むのは難しい・・と感じる方も多いので、小さな子ども向けには作られていないかなという感想です。
気まずいシーン①:夏子に対する眞人の複雑な感情

主人公・眞人が夏子と対面する場面は、多くの視聴者に「気まずさ」を感じさせました。
夏子は眞人の亡き母(久子)の妹であり、眞人の父親と久子の死後1年で再婚しています。
なぜ気まずい?
- 親族間の再婚というセンシティブなテーマ
- 主人公の戸惑いと反発が生々しい
- 観客自身の家庭環境と重ねてしまう人も多い
正直、この設定に一番「え?」となった人、多いんじゃないでしょうか。
主人公の母親が亡くなった直後、父親が再婚。その相手がなんと母の妹(夏子)なんです。
しかも、映画ではこの再婚に対しての心の葛藤や背景がまったく描かれておらず、主人公の眞人はモヤモヤしてるけど、それに対して父はまるで無関心のような印象を受けました。
眞人にとっては叔母であり、思春期入りたての眞人にとっては叔母が母親になるという現実に戸惑い説明しがたい感情や表情が多く見てとれました。
小学生ぐらいのお子さんになると、「なんで叔母さんと結婚したの?」という素直な疑問が飛んでくるかもしれませんね。
気まずいシーン②:眞人の父と夏子のキスシーンや性描写
今までジブリ映画にはあまり描かれなかった、【性描写】が入っているのが、今回の作品です。
絵としての表現はありませんでしたが、父親と夏子のキスシーンが音で表されていたり、眞人が夏子に対する女性としての想いが描かれています。
露骨に表現されていることはないのですが、今までの親子愛とは違う「エロス」的な表現に繋がっているのは気まずいポイントになるかもしれません。
気まずいシーン③:生と死の境界を越える描写

亡くなったはずの母親と再会するファンタジーシーンは、一見すると感動的です。
しかし、演出や表現の仕方によって「不気味さ」や「気まずさ」を感じた人も少なくありません。
なぜ気まずい?
- 火事での火傷やケガの描写
- 母親の死
- 自分を責め続ける主人公の内面描写
- 母親との再会(幻想世界)などの“死後の世界感”
子どもには“怖い”と感じられるシーンもあり、もし似たような経験をしてきたご家庭があれば精神的にも重く気まずいシーンになってしまうと思われます。
また眞人が自分の頭を石で痛めつけるシーンもあり、子どもは「なぜ?」という疑問と「可哀そう」という気持ちになり、このシーンについて説明をしてあげる必要がでてきそうです。
なぜ“気まずさ”をあえて描いたのか?宮崎駿監督の問いかけとは
ここからは少し掘り下げて、なぜ宮崎駿監督がこの“気まずい家族関係”を描いたのかを考えてみます。
「わかりあえない親子」こそがリアル
多くのジブリ作品では、親子愛が温かく描かれてきました(『となりのトトロ』など)。
でも今作では、
- 死を乗り越えること
- 家族との距離を受け入れること
- 完璧じゃない大人と、どう付き合っていくか
という“不完全な関係性”が、ありのまま描かれているように感じました。
今の世界にはいろんな人がいて、理不尽なことも多いけどそういった人や物事をどう受け入れて乗り越えていくのか?と問われている作品にも感じました。
気まずさを「残す」こと自体がメッセージ

今までの宮崎駿監督の作品はほとんどが、見た観客にどう感じたかを考える機会を与えてくれていたと思います。
この作品に関しても
- 説明しすぎない
- 感情を表に出さない
- 違和感を残す
などある意味で「観客に考えさせるための余白」をわざと残しているようにも感じました。
ただ捉え方はたくさんあり、「この作品だけは監督の言いたい事がまっすぐ伝わってきた」という感想を持っている方もいましたよ。
今まで伝えたい事をはっきり書かないのが 宮崎駿監督の描き方だったのが この作品だけは伝えたい事を真正面から 描いてる感じがあって好き。
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「どう生きるか」は“誰かに与えられる答え”じゃない
映画のタイトルそのものが、
「どう生きるかは、自分で考えて、自分で決めることだ」と語りかけているような気がします。
だからこそ、「モヤモヤ・違和感・気まずさ」それらは全部、「あなたに考えてもらうための種」なのかもしれません。
こんな感想を持った方も!
「オレ(宮崎駿自身)はこう生きてみた。さあ、君たちはどう生きるか?」という作品だと感じた。
「誰かの塔を継ぎ守り抜くも良し。地に足をつけて現実を生きるも良し。自ら新たな塔を建てるも良し。力を尽くして生きなさい。」という想いを感じた。
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【君たちはどう生きるか】気まずいシーンがあっても親子見て考えるにはいい映画
『君たちはどう生きるか』に対して「気まずい」と感じるのは、宮崎駿監督の思惑通りかもしれません。
- 父の再婚にひっかかった
- 子どもとの距離感にモヤモヤした
- 家族の“わかり合えなさ”が苦しくなった
どれも、「家族」や「大人」や「生き方」に向き合っているからこそ感じること。
不快になったっていい。
わからなかったっていい。
そのあとに「自分はどう生きるか」を考えたなら、それだけでこの作品と向き合った意味があるはずです。