第266代ローマのフランシスコ教皇が4月21日に亡くなったことを受けて、バチカンで新たにコンクラーベ(教皇選挙)が始まりました。
このニュースを見て「コンクラーベって何?」「いつ終わるの?」と気になった人、多いのではないでしょうか?
でもそのやり方はとても特別で、秘密の中で行われ、煙で結果が知らされるという独特の形式で進みます。
- コンクラーベの意味ややり方
- いつ終わるのか、どれくらいかかるのか
- 過去に長引いたケースやその背景
5月9日追記
ついにコンクラーベが終わり、ローマ新教皇が決まりました。
ロバート・プレボスト枢機卿(69)で、初のアメリカ出身の教皇です。
プレヴォスト新教皇がルイ14世と名乗る理由やトランプ大統領との関係についてはこちらの記事で紹介しています。
2025年バチカンで新たなコンクラーベが開始!
カトリック教会の最高指導者であるローマ教皇(法王)は、教会の長として全世界の信者から尊敬を集めています。
2025年4月に前教皇・フランシスコ教皇の死去により、次の教皇を選ぶ「コンクラーベ」が始まりました。
この会議はバチカンのシスティーナ礼拝堂で行われ、世界中から注目される儀式です。
コンクラーベはいつ終わる?期間は決まってる?
終わる日は“決まっていない”
コンクラーベは、教皇が決まるまで終わりません。
初日は午後に1回、2日目以降は1日最大で4回投票し、それが3日間続きます。
それでも結果が出ないときはは1日休んで、7回投票するなど投票総数の3分の2以上の票を得る者が出るまで続くとされています。
「●月●日に終わります」とスケジュールが組まれているわけではなく、“全員の合意が取れるまで何日でもかかる”というのが最大の特徴です。
平均は2〜4日が多いが、必ずしもそうとは限らない
近年のコンクラーベは比較的早く終わる傾向があります。
たとえば:
- 2013年(フランシスコ教皇):5回目の投票で決定(2日間)
- 2005年(ベネディクト16世):4回目で決定(2日間)
ただし、意見がまとまらないと1週間やそれ以上かかる場合もあり、「いつ終わるか」は誰にも分からないのです。
今回のコンクラーベで新教皇が決まったさいにはどんな影響があるのか、何が変わるのかについてはこちらの記事で紹介しています。
過去最長は2年!? コンクラーベ史上“決まらなかった”エピソード
13世紀、2年9ヶ月も教皇が決まらなかった!
1271年のコンクラーベでは、なんと約1000日(2年9ヶ月)も教皇が決まりませんでした。
理由は:
- 教会内の派閥争い
- 政治的な駆け引き
- ローマ市民からの圧力
途中で怒った人々が「部屋を封鎖し、食事も減らした」と記録されていて、本当に“閉じ込められた会議”だったのです。
近代では最長でも5日ほど
20世紀以降は選出の効率が上がり、長くても5日程度で教皇が決まっています。
例えば:
- 1922年:5日間(ピウス11世)
- 1978年:8回の投票でヨハネ・パウロ2世を選出
それでも、枢機卿たちの思想の違いが大きいと、長引くリスクは残っています。
なぜ長引くのか?“宗教と政治”が交差する場でもある

① 教義と価値観の対立|保守 vs 革新のバトル
コンクラーベでは、教義に対する保守的な立場と、時代に合わせた改革派の意見がぶつかることがあります。
- 保守派:同性婚・人工妊娠中絶・女性聖職などに否定的。伝統を守る立場
- 革新派:現代の社会に歩み寄ろうとし、教会改革を進めたいと考える立場
この方向性の違いは大きく、どちらを新しい教皇に据えるかで教会の未来が変わるため、票が割れやすくなります。
② 地域・人種のバランス問題|“どの国から選ばれるか”が重要視される
コンクラーベは「宗教の場」でありながら、実は“外交的な意味合い”も強く持っています。
- 歴代の教皇は多くがヨーロッパ出身(特にイタリア)
- しかし現在、信者の多くは南米・アフリカ・アジアにいる
そのため、
「そろそろヨーロッパ以外から出すべきでは?」
「国際的なバランスを取るならアジア系もあり得るのでは?」
といった声も内部で起こり、“誰の出身地か”が争点になることもあります。
③ 政治的な圧力と“バチカン外交”の駆け引き
バチカンは一つの宗教組織でありながら、独立した“国家”でもあります。
つまり、外交・政治・経済にも関わってくるため、
- 保守・改革派の背景に、国家の意向や政治ロビーが存在
- アメリカ・イタリア・スペインなどの影響力も根強い
- 特定の枢機卿が「誰を支持するか」がニュースになるほど
このため、単なる“宗教者の選出”ではなく、世界の政治にも影響を及ぼす“国際的なトップ会議”と化している側面があります。
コンクラーベとは?そもそもどうやって行われるのか

誰が参加できるの?
コンクラーベでは、80歳未満の“枢機卿(すうききょう)”と呼ばれる高位聖職者たちが、教皇を選ぶ権利を持っています。
現在は(投票権利をもつ)枢機卿は135人いるとされていますが、2人欠席で133人で投票が行われるようです。
この人たちは世界中から集まり、お互いに誰を新しい教皇にするかを投票で決めます。
完全に“外と切り離された”状態で選ぶ
コンクラーベは、外からの影響を一切受けないように、
- 携帯やインターネットは禁止
- 外部との連絡は禁止
- 会場(システィーナ礼拝堂)は施錠される
という非常に厳しいルールで行われます。
なぜ煙が出るの?黒煙・白煙の意味
選挙の結果は、礼拝堂の煙突から出る煙の色で知らされます。
- 投票で誰も当選しなかったら → 黒い煙(まだ決まってない)
- 教皇が決まったら → 白い煙(決定!)
この方法は伝統であり、世界中が“白煙が上がる瞬間”を見守るのです。
コンクラーベの語源は「根比べ」ではない!
「コンクラーベ(conclave)」は、ラテン語の「cum(共に)」+「clavis(鍵)」が由来です。
つまり語源の意味は…
「鍵のかかった部屋」または「鍵をかけて共にいる場所」
という意味になります。
なぜ“鍵”が語源なの?
歴史的に、コンクラーベは「教皇が選ばれるまで、外に出てはいけない」という閉じ込め式の会議でした。
そのため、選挙に参加する枢機卿たちは文字通り**“鍵をかけられた場所に集められる”**状態に置かれます。
このルールの背景には、
- 外部の影響・政治的干渉を防ぐ
- 神の意志に従って静かに選ばれるべき
- 決まるまで帰れない=“本気”の選挙
といった、宗教的かつ儀式的な意味合いが込められています。
補足:現代でも「完全隔離」は本当に行われてる?
いまだに携帯電話やネットは禁止。
外部との連絡手段は絶たれ、会場のシスティーナ礼拝堂は物理的に施錠(封鎖)されます。
なので、語源どおり「鍵をかけて共にいる」空間が、今もなお守られているのがコンクラーベなんです。
“終わりが読めない”コンクラーベの意味とは
コンクラーベは、決まるまで出てこられない会議。煙しか情報がなく、会話の中身も一切外に出ません。
その中で世界中の信者は、静かに白煙が上がる瞬間を待ち続けます。
2025年のコンクラーベがいつ終わるか――
それは誰にも分かりません。
でも、だからこそ“決まった瞬間”には、重みと感動があるのかもしれませんね。